夜中に1人事務所で仕事をしていた時の事。
うちの事務所は室内に2階(応接室)があるという変わった造りなのだが、
だれもいないはずの2階から何やら話し声が聞こえる。
音楽を聞きながら仕事していた俺は、停止ボタンを押し耳を澄ます。
「・・・・・・・・・」
何も聞こえない。
空耳か。はたまた、前の通りの酔っ払いの声かと思い、音楽を再生しようと
したところ、
「・・・・ギャハハア・・ハア・・・・※▼☆□・・・」
とはっきり聞こえる。
俺は2階に続く階段に背を向けて仕事しているので、振り向いた。
2階に誰かいるのか・・?そう思い、階段の電気を付け、2階に行くが
し~んとした暗闇があるばかりだ。
気持ち悪いなあと、階段を降り始めたその時暗闇から
「アアア・・・・・・ア~~~~~・・・・」
赤ん坊?の泣き声がかなりの音量で響いた。
これはおばけを見れるチャンスだと思い、2階部屋の明かりをつける。
いない。それでも声はやまない。
どこだ?どこだ??
クローゼットを全て開けるも、声だけが部屋中に響く。
明らかに超常現象。明らかに話のネタになるぞと踏んだ俺は、
この状況下で一番おもしろい事は何かと瞬間的に思案した。
頭をよぎったのが、全裸でヒゲダンス。
この発想の乏しさがなんとも寂しいが、今だかつておばけに遭遇して、
全裸でヒゲダンスを踊った人はいないだろう。
これでこの声がおさまったら、明日から俺は「お化けにはヒゲダンスだよ」と
鼻高々で大阪中に触れ回る。
もし、お化けがクスリとでも笑ったら「おばけを笑わせた」という武勇伝を、
孫の代まで自慢するだろう。
しかし、上着を脱いだところで「もしかしてドッキリか?」との疑惑が
頭をかすめた。被ドッキリ経験は豊富な方だ。
仕掛け人が、この状況下で隠れれるとすれば・・・ベランダだ!
ドアカーテンを開けた・・・そこにはにゃんと!
猫ちゃんが交尾の真っ最中でした。
ファー○ク!
声の原因はこいつらだったのか!
俺を横目で見ながら行為をやめようとしないその猫カップルに無性に腹が立ち、
ドアをドンと叩いて、追い払った。
大ネタのはずが、中の下ネタに下がった事に怒りを覚えながら
下に降りて、帰る準備を始めた。
すると急にパソコンの電源が落ち、パキン!ピキン!という音が
部屋中に鳴り響き、時計の長針が秒単位で動き出した。
ドアのノック音が聞こえる。10回程のノックの後、ドアノブが回され、
ゆっくりと開き始める。
やれやれ。。
俺は上着を脱ぎ始めた。